field notes
「前へならえ」をする子どもたち、全員同じ学用品、一斉に「ハーイ」と手を挙げる教室の風景を描いたイラスト。

みんなと同じ

The Story

「集まりに行く時に、日本人は明日何を着ていく? と聞いて同じ格好をしようとするのはなぜ?」
昔、アメリカ人の知り合いに聞かれたことがある。
彼女曰く、アメリカ人も友人に聞くことがあるけれど、それは絶対その人と違う服装をするため、なのだという。「人と同じ服なんて嫌じゃない?」と言うのだ。

ご主人の赴任で来日し、5年間くらい住んでいたので、理由はなんとなくわかったらしいが、とうとうその感覚自体は体感できなかった、と帰国した。

服装だけではなく、この日本人の「みんなと同じ」現象はたくさんあったと思う。
説明しようとすると、文化だ教育だ、という話になるので、彼女には詳しくは語らなかった。

先生から「正しくない」と言われることは、とても怖くて、それをふん!と跳ね返せるような
性格でもなかったし、田舎の小さな学校では、正しくないことは許されなかった気がする。

こう書くと、まるで私がこういう日本人ってさ〜、という話に聞こえるかもしれないけれど、
私も少なくともこの同調圧力に憧れた。

私が日本人の女の子として、”規格外”(背が高すぎるという意味で)になったのは中学の頃から。小学生の頃は十分この”みんな同じ”基準で育った昭和の時代だったので、突然私はみんなの外に強制的に放り出されたように感じていたのだ。

あの頃の「みんなと同じ」は、安心なことだったと思う。

今、たくさんの情報がどこからでも取れて、個性というものが尊重されている時代から振り返ると不思議な基準のようでもあるけれど、時代ではなくて、場所なのかな。あの小さな場所で暮らした記憶がぼんやりとしてしまっているけれど、今でもあそこに戻ったら、「安心」はまだその形であるのかもしれない。

前に前に!と生きていると、たまに、そんな懐かしい安心に包まれたいような気持ちになることもある。

やはりアメリカにいる彼女には、更にわからないだろうと思う。

Visual Story Details

Subject:「前へならえ」で整列する子どもたち、赤黒統一の持ち物、一斉に手を挙げる教室のイラスト。

Mood:懐かしさと息苦しさが同居する、複雑で叙情的な温度。

Theme:同調圧力の中にある恐怖と、それでも憧れてしまう安心感という、相反する感情の共存。

Artist:Kazue Shima (Visual Story Artist)

※この絵のエッセイ漫画は、下のリンクで別の話として読んでいただくことができます。
ぜひご覧になってください。

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