The Story
チェス、という競技にとても惹かれる。
ルールも何も知らないのだけど、とにかくあのトランプカードみたいな絵柄が、立体でコマになっている時点で素敵。
チェックメイト、という言葉も良い。
将棋でいうところの「詰み」なんだろうか。
と言っても将棋もよくわかっていない。将棋のコマの動かし方も、アニメのニャー将棋を見て、なるほどねと思い出すレベル。
将棋だって、あの平らな小さい板じゃなくて、「王将」とか、武田信玄みたいな風貌の立体コマにすれば、もっと見た目も楽しそうである。
「金将」「銀将」あたりも余裕で立体コマが想像できる。「桂馬」や「歩」も考えられそうだ。「飛車」になると、突然、飛脚みたいな駒を想像してしまうのはふざけすぎだろうか。しかし飛ぶ車のままで考えると、近未来的な車になってしまうので、やはり飛脚くらいが落ちつきどころとしてはいいと思う。
将棋とチェスといえば、羽生善治は、チェスでも日本トップクラスの実力を持っているという。チェスは、将棋のように取った相手の駒を自分の持ち駒として再利用することができないので、全く将棋とは作戦も違うと思うのだけど。いずれにしても人の心や、先を読む、という力がすごいのだろうなあ。
羽生さんが何かのインタビューで話していた言葉が印象的で今でも覚えている。
「相手の気持ちになって考える、というけれど、それは自分から見て相手の気持ちを考えるのではなくて、相手ならどう考えるかと考えないと将棋では勝てない」と。
自分の価値観で物事を考えては勝てない、ってこと。
自己都合をちゃんと脇に置いておける人だから、先を読めるのだろう。
そもそも将棋もチェスも、道具を持たず、ふらりと体一つでその場に出かけ、木の板に向かって戦って帰ってくるって、なんて格好いいんだろうか。
男が戦う姿はさまざまで、例えばボクシングとか、レスリングのようなエネルギッシュで、力強く筋肉隆々で戦うようなイメージなんだろうけど、私は将棋やチェスにボクシング以上の力強さを感じるのだ。
あの板の前にずっと座りながら、頭の中では格闘技並みの激しさ。
静けさの中に在る、本当の強さのようなものを私も欲しいと思う。
自分の中にあるそんな強さを感じることができたなら、何も怖いものなんてなくなると思う。
そして、一生楽しめるボードゲームを覚えたいので、やはりチェスをやってみたいな、と言いながら、なかなか実行できずにいる。
もし、生きる上でチェックメイトになったら、それはあとは山に登るしかない大チャンスなのだと思う。
Visual Story Details
Subject:チェス盤の前に座る、マン・レイが撮影したチェス王者アリョーヒンの肖像をモチーフにした鉛筆画。
Mood:静けさの中にある、格闘技にも似た内なる激しさと強さ。
Theme:人生の行き詰まりを「チェックメイト」と捉え直し、次の一歩へ進む静かな強さ。
Artist:Kazue Shima (Visual Story Artist)







